点字名刺プロジェクト 




2020年11月1日 ~ 11月30日の作業日誌




作業日誌をご覧くださり、誠にありがとうございます。画像は、11月21日撮影した点字年賀シールを作成しているSさんの作業風景です。





視覚障がい者がココロを込めて点字刻印した、点字年賀シールを販売しています。「ありがとう」 の点字を打っているのは、約6年前に全盲になったSさんという者です。


このSさん、目の見えない障害だけではなく、重複してある障害をも抱える事になるのです。それは、高次脳機能障害 と呼ばれる障害です。


高次脳機能障害とは、脳の損傷によって起こる様々な障害のことをいいます。Sさんは、記憶の回路に損傷があるようで、朝起きると、昨日まで覚えていたことが忘れてしまう特徴がありました。お仕事の為に点字を覚えたい。 しかし覚えていたことが次の日には忘れてしまう。


「Sさんの気持ちをなんとか叶えたい」


そこでココロスキップでは、50音を全て覚えて頂くのではなく、ある単語に焦点を絞り、頭ではなく体で覚えて頂く事により、「お仕事に結び付ける事はできないか?」と考えました。訓練を共に開始してから約一か月、ついに、ある単語を打てるようになったのです。


その単語こそが、「ありがとー」 でした。お仕事の時間にとどまらず、昼休みにも練習を積み重ね、点字シールに「ありがとー」を打てるようになったのです。周りからは、


「高次脳機能障害があるから点字を覚えることなど絶対に無理だ」


とその可能性すら否定され、練習すらさせてもらえなかっただけに、本人も自信が付いたようです。この、「ありがとう」 は購入して頂いた方に対する 「ありがとう」 そして、一枚、一枚、感謝の気持ちを込めながら、魂を吹き込んだ「ありがとう」ですので、ココロのこもったこの商品、きっとお役にたてるものだと信じています。


「ありがとう」の点字年賀シールを販売して今年で3年になりますが、Sさんは少しずつ記憶力が回復し、新しい点字にもチャレンジしております。視覚障がい者のお仕事として点字シールを販売するのは、もしかしたら世界初かもしれません。


年賀状などにご活用頂ければ幸いです。点字名刺と共に、視覚障がい者の新たなお仕事として、発展することを願っております。


点字年賀シール一覧
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